美空ひばりゴールデンベスト VOL.1

美空ひばり 美空ひばりゴールデンベスト VOL.1歌詞
1.悲しき口笛

作詞:藤浦洸
作曲:万城目正

丘のホテルの 赤い灯も
胸のあかりも 消えるころ
みなと小雨が 降るように
ふしも悲しい 口笛が
恋の街角
露地の細道 ながれ行く

いつかまた逢う 指切りで
笑いながらに 別れたが
白い小指の いとしさが
忘れられない さびしさを
歌に歌って
祈るこころの いじらしさ

夜のグラスの 酒よりも
もゆる紅色 色さえた
恋の花ゆえ 口づけて
君に捧げた 薔薇の花
ドラのひびきに
ゆれて悲しや 夢とちる


2.東京キッド

作詞:藤浦洸
作曲:万城目正

歌も楽しや 東京キッド
いきでおしゃれで ほがらかで
右のポッケにゃ 夢がある
左のポッケにゃ
チューイン・ガム
空を見たけりゃ ビルの屋根
もぐりたくなりゃ マン・ホール

歌も楽しや 東京キッド
泣くも笑うも のんびりと
金はひとつも なくっても
フランス香水 チョコレート
空を見たけりゃ ビルの屋根
もぐりたくなりゃ マン・ホール

歌も楽しや 東京キッド
腕も自慢で のど自慢
いつもスイング ジャズの歌
おどるおどりは ジタバーク
空を見たけりゃ ビルの屋根
もぐりたくなりゃ マン・ホール


3.越後獅子の唄

作詞:西条八十
作曲:万城目正

笛にうかれて 逆立ちすれば
山が見えます ふるさとの
わたしゃ孤児(みなしご) 街道ぐらし
ながれながれの 越後獅子

今日も今日とて 親方さんに
芸がまずいと 叱られて
撥でぶたれて 空を見あげれば
泣いているよな 昼の月

うつや太鼓の 音さえ悲し
雁が啼く啼く 城下町
暮れて恋しい 宿屋の灯
遠く眺めて ひと踊り

ところ変れど 変らぬものは
人の情の 袖時雨
ぬれて涙で おさらばさらば
花に消えゆく 旅の獅子


4.私は街の子

作詞:藤浦洸
作曲:上原げんと

わたしは街の子 巷の子
窓に灯が ともる頃
いつもの道を 歩きます
赤い小粒の 芥子の花
あの街角で ひらきます

わたしは街の子 巷の子
なんで灯が 恋しやら
いつもの歌を 歌います
柳落葉が ひらひらと
赤いリボンに つもります

わたしは街の子 巷の子
ついた灯が また消えりゃ
いつもの人に 出逢います
今は恋しい 母様に
うしろ姿も そっくりな


5.ひばりの花売娘

作詞:藤浦洸
作曲:上原げんと

花を召しませ ランララン
愛の紅ばら 恋の花
もゆる心の ささやきか
恋のそよ風 ゆらゆらと
ゆれてはずかし 赤いばら
花を召しませ ランララン
召しませ紅ばら 恋の花

花を召しませ ランララン
白いミモザは 夢の花
ぬれた心の 愛の露
月の光か ささやきか
丘のチャペルの 鐘の音が
花を召しませ ランララン
召しませミモザは 愛の花

花を召しませ ランララン
乙女やさしい チューリップ
赤白黄色と とりどりの
レビューまくぎれ 千代紙や
なげたテープの うつくしさ
花を召しませ ランララン
召しませやさしい チューリップ

花を召しませ ランララン
花は散るもの しぼむもの
咲いた思いの はなびらに
夢があるうち いまのうち
愛(いと)しお方に 捧げなさい
花を召しませ ランララン
召しませ なさけの花束を


6.あの丘越えて

作詞:菊田一夫
作曲:万城目正

山の牧場の 夕暮に
雁が飛んでる ただ一羽
私もひとり ただひとり
馬(アオ)の背中に 眼をさまし
イヤッホー イヤッホー

お花畑の まひるどき
百舌が鳴いてる 雲の上
私はひとり ただひとり
遠い都を 思い出し
イヤッホー イヤッホー

山の湖 白樺の
影が揺らめく 静けさよ
私はひとり ただひとり
恋しい人の 名を呼んで
イヤッホー イヤッホー

山の牧場の 星の夜
風に揺れてる 灯は
私とおなじ ただひとり
泣けば悲しい 山彦が
イヤッホー イヤッホー
イヤッホー イヤッホー


7.リンゴ追分

作詞:小沢不二夫
作曲:米山正夫

リンゴの花びらが 風に散ったよな
月夜に月夜に そっと え―――
つがる娘は ないたとさ
つらい別れを ないたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――

お岩木山のてっぺんを
綿みてえな白い雲が
ポッカリポッカリながれてゆき
桃の花が咲き さくらが咲き
そっから早咲きの、リンゴの花ッコが咲くころは
おらだちのいちばんたのしい季節だなや―
だども じっぱり無情の雨こさふって
白い花びらを散らすころ
おら あのころ東京さで死んだ
お母ちゃんのことを思い出して
おら おら……

津軽娘は 泣いたとさ
つらい別れを 泣いたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――


8.お祭りマンボ

作詞:原六朗
作曲:原六朗

私のとなりのおじさんは
神田の生まれで チャキチャキ江戸っ子
お祭りさわぎが大好きで
ねじりはちまき そろいのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おみこしかついで
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
景気をつけろ 塩まいておくれ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お祭りだ

おじさんおじさん大変だ
どこかで半鐘が なっている
火事は近いよ スリバンだ
何をいっても ワッショイショイ
何をきいても ワッショイショイ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お祭りだ

そのまた隣の おばさんは
浅草育ちで チョッピリ美人で
お祭りさわぎが 大好きで
意気な素足に しぼりのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おかぐら見物
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
おかめと鬼が
ハンニャとヒョットコが
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
ソーレ ソレソレ お祭りだ

おばさんおばさん 大変だ
おうちは留守だよ からっぽだ
こっそり空巣が ねらってる
何をいっても ピーヒャラヒャ
何をきいても テンツクツ
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
ソーレ ソレソレ お祭りだ

お祭りすんで 日が暮れて
つめたい風の 吹く夜は
家を焼かれた おじさんと
ヘソクリとられた おばさんの
ほんにせつない ためいきばかり
いくら泣いても かえらない
いくら泣いても あとの祭りよ


9.ひばりのマドロスさん

作詞:石本美由紀
作曲:上原げんと

船のランプを 淋しく濡らし
白い夜霧の ながれる波止場
縞のジャケツの マドロスさんは
パイプ喫かして
アー タラップのぼる

左様ならよと つぶやくように
咽ぶ汽笛は 別れの合図
誰のかたみか マドロスさんの
粋なマフラー
アー 夜風になびく

泣いちゃ巻けない 出船の錨
さすが男よ 笑顔で巻いて
港離れる マドロスさんは
切れたテープに
アー 名残を惜しむ


10.娘船頭さん

作詞:西條八十
作曲:古賀政男

娘十八 口紅させど
わたしゃ淋しい 船頭むすめ
燕来るのに 便りも無くて
見るはあやめの ヨウ 花ばかり

想いそめたは 鹿島のまつり
おまえゆかたで わたしは島田
祭太鼓に 櫓拍子あわせ
漕いだあの夜の ヨウ 天の川

鐘が鳴ります 潮来の空で
月に墨絵の 十二の橋を
漕いで戻れど 別れたひとと
水のながれはヨウ 返りゃせぬ


11.港町十三番地

作詞:石本美由起
作曲:上原げんと

長い旅路の 航海終えて
船が港に 泊る夜
海の苦労を グラスの酒に
みんな忘れる マドロス酒場
ああ港町 十三番地

銀杏並木の 敷石道を
君と歩くも 久しぶり
点るネオンに さそわれながら
波止場通りを 左にまがりゃ
ああ港町 十三番地

船が着く日に 咲かせた花を
船が出る夜 散らす風
涙こらえて 乾杯すれば
窓で泣いてる 三日月様よ
ああ港町 十三番地


12.花笠道中

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

これこれ 石の地蔵さん
西へ行くのは こっちかえ
だまって居ては 判らない
ぽっかり浮かんだ 白い雲
何やらさみしい 旅の空
いとし殿御の こころの中(うち)は
雲におききと 言うのかえ

もしもし野田の 案山子さん
西へ行くのは こっちかえ
だまって居ては 判らない
蓮華たんぽぽ 花盛り
何やら悲しい 旅の空
いとし殿御の こころの中は
風におききと 言うのかえ

さてさて 旅は遠いもの
田舎の道は つづくもの
そこでしばらく 立ち止まる
流れて消える 白い雲
やがて蓮華も 散るだろう
いとし殿御と 花笠道中
せめて寄り添う 道の端


13.哀愁波止場

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

夜の波止場にゃ 誰あれもいない
霧にブイの灯 泣くばかり
おどま盆ぎり盆ぎり
盆からさきゃ おらんと
あの人の 好きな歌
波がつぶやく 淋しさよ

「ああ 今夜もブイの灯が
冷たい私の心のように
うるんでいる
あの人のいない港は
暗い海の波のように淋しいわ
あの人がいつも唄った歌が
今夜も私を泣かすのね」

三月待っても 逢うのは一夜
恋も悲しい 波止場町
五ッ木くずしは
しんから 泣けるよ
思い出の 滲む歌
耳に残って 離れない


14.車屋さん

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

ちょいとお待ちよ 車屋さん
お前見込んで
たのみがござんす この手紙
内緒で渡して 内緒で返事が
内緒で来るように
出来ゃせんかいな
エー 相手の名前は
聞くだけ野暮よ
唄の文句に あるじゃないか
人の恋路を 邪魔する奴は
窓の月さえ 憎らしい
エー 車屋さん

それでどうしたの 車屋さん
お前さっぱり
お役に立たない お人柄
内緒で渡して 内緒の返事が
内緒で来たのに
何処へやったのさ
エー 忘れて来るとは
そりゃあんまりよ
唄の文句に あるじゃないか
あてにならない お人は馬鹿よ
あてにする人 もっと馬鹿
エー 車屋さん